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備忘録

個人的なメモで使っています

 

 

素晴らしいの一言に尽きました。軽快なタッチに見えて綿密に計算されているというか、非現実的なのに現実的というか、絶妙なバランスに痺れました。もっと知名度が上がってよいのではないかしら・・?

結構前に一巻だけ読んでやめてしまった経緯があるので偉そうなことは言えないですが、ちらっと読んだだけでは真髄が分からない漫画だなと激しく思いました。「たそがれたかこ」などもですが、通読を熱く熱くオススメしたい。

特に感動したのが人物造詣。幅広い世代&バックグラウンドの登場人物がたくさん登場するのに、みんな地に足がついている。リアリティが物凄くあるのだ。

例えば主人公の律くん。非実在美青年で頭脳明晰(軽~く名門国立大学に合格する)のもちろんMMK(もててもててこまる)、バレンタインには廊下に彼専用のチョコボックスができ、そこにチョコを入れることが「神事」と化しつつあるという、いかにも漫画的設定なのだが、当の律くんは万能感なんてこれっぽっちも持っていない。女の子にさりげない会話をふるのも「こういうの苦手」と落ち込むし、絵は下手くそで凹むし、所属クラブは卓球部のあと囲碁部だし、あと童貞だし。ルックスとは対照的にものすごく地味で平凡なパーソナリティというのがそこはかとない現実感を生み出しているのだ。そんな彼だから、その人望に家族はじめ周囲の人が惹かれるというのも納得、確かにこーいう懐の深い残念なイケメンいたら親近感も抱くし友達になりたいよね、ってうんうん頷く。

あと、個人的に好きなのが斉木(通称:サイキックス)。超こじらせ男子で、コイツの考えめっちゃ分かる・・とつい同族嫌悪しそうになったが、性格は歪んじゃあいるが律の良いところを認めて友達になるとか、こう、頑固なくせに単純で素直というギャップに、第一印象は最悪だけど段々惹かれていって、といつの間にか好きになっていた。好きな作家は中上健次とかあぁぁそういうタイプか!と思わず膝を打ったし。カレー屋のボンボン息子若月くんも、金目当ての女に騙されたりと、ボンボンならではの脇が甘い感があるが、ボンボンならではの人当たりの良さがあって、めっちゃいい奴だし。すべてのキャラが、清濁併せのむ感じ描かれているのだが、欠点もあるが嫌いになれない、もしくは、欠点があるからこそ更に好きになる、のである。本当に絶妙。

というか、キャラの引き出しが本当に多い・・。先日、某女性作家のファンタジー小説を読み、「最近の若い女の子はこんなババくさい喋り方しねぇべ」と突っ込んでしまったのだが、そういう違和感が全くない。作者さん、お世辞にも若くはない年齢と推察するけれど、若い子を描かせてもオバサンを描かせてもリアルなのだ。斉木が中上ファンの一方、律の妹奏ちゃんは三代目Jなんたらが好きだし、守備範囲広すぎるだろともう脱帽なのである(私はどうしてもエグ〇イル系の話は毛嫌いしてしまう・・)

あとこれは全世界に共感してもらえると思うが、ルカくん(律の弟)がかわいい。だんだん自我がでてきて我儘を言ったりするところも、成長したなルカきゅん・・と親戚のおばさん感覚で応援している。本当に素晴らしい漫画。幸せな休日である。

小沢先生の前作も一気買いしてしまった。楽しみ。ほくほく。